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月別アーカイブ: 2025年2月

第8回制御盤設計雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社ツバサオートメーション、更新担当の中西です。

 

本日は第8回制御盤設計雑学講座!

さて今回は

~鉄則~

ということで、制御盤設計における鉄則を詳しく解説し、プロフェッショナルな設計者が守るべきポイントを深く掘り下げます♪

制御盤は、工場・プラント・発電所・インフラ設備などで機械やシステムを制御するための重要な装置です。適切に設計された制御盤は、機器の安定動作・作業の効率化・メンテナンス性の向上・安全確保を実現します。しかし、制御盤の設計を誤ると、機械の誤動作・火災・感電事故・システムダウンなど、重大なトラブルにつながる可能性があります。


1. 制御盤設計の基本方針

制御盤を設計する際には、以下の3つの基本方針を常に意識することが重要です。

  1. 安全性(Safety)

    • 感電や火災などのリスクを防ぐ設計。
    • 過電流・短絡・ノイズ対策を徹底。
  2. 機能性(Functionality)

    • 必要な制御機能を満たし、将来の拡張性を考慮。
    • シンプルな配線で作業しやすく、エラーを最小限にする。
  3. メンテナンス性(Maintainability)

    • 機器交換や点検がしやすい配置。
    • トラブル時に迅速な復旧が可能な設計。

2. 制御盤設計の鉄則

鉄則① 機器の配置は「熱」「配線」「メンテナンス」を考慮する

制御盤内部の配置設計は、発熱・配線の取り回し・メンテナンスのしやすさを考慮して行う必要があります。

🔹 発熱対策

  • ヒーター・インバーター・リレーなど発熱する機器は上部に配置し、自然対流を利用する。
  • 強制換気が必要な場合は、ファンやクーラーの設置を検討。
  • 高温環境下では、耐熱部品の選定や断熱対策を行う。

🔹 配線ルートの確保

  • 電源ライン・制御ライン・通信ラインは別ルートにして、ノイズ対策を徹底。
  • 強電(200V以上)と弱電(24V以下)を分離し、誤作動を防ぐ。
  • 端子台の配置を整理し、配線作業の効率を向上。

🔹 メンテナンス性の確保

  • リレーやブレーカーは前面アクセスが可能な配置にする。
  • 頻繁に交換する機器(ヒューズ・リレー・ブレーカー)は手が届きやすい場所に設置
  • ラベル・マーキングを明確にし、配線トラブルを防ぐ。

鉄則② 適切な電源設計を行う

制御盤に供給される電源は、機器の種類や使用環境に応じて最適に設計する必要があります。

🔹 電源の基本設計

  • 主電源(AC200V・AC400V)制御電源(DC24V・AC100V)を明確に分離。
  • トランス(変圧器)を適切に選定し、電圧降下や負荷バランスを考慮。
  • 無停電電源装置(UPS)の導入:重要なシステムでは停電時の対策を考慮。

🔹 過電流・短絡対策

  • ブレーカー(MCB)やヒューズを適切に選定し、短絡事故を防ぐ。
  • サージ対策(避雷器・バリスタ)を施し、雷や突発的な電圧変動に備える。

鉄則③ ノイズ対策を徹底する

工場やプラントでは、インバーター・モーター・高圧機器などが発生する電磁ノイズが制御盤に悪影響を与えることがあります。ノイズ対策を怠ると、誤動作や信号異常が発生するため、しっかり対策を講じることが重要です。

🔹 ノイズ対策の基本

  • 強電系と弱電系の分離(配線ルートを分ける)。
  • アース(接地)処理を適切に行う(接地抵抗を低くする)。
  • ノイズフィルターを設置し、スイッチング電源の影響を抑える。
  • シールド付きケーブル(STP)を使用し、信号線を保護する。

鉄則④ 保守・点検のしやすい設計

制御盤は長期間使用する設備であるため、メンテナンスのしやすさが非常に重要です。

🔹 保守性を向上させる工夫

  • 制御回路をモジュール化し、交換作業を容易にする。
  • 配線図を正確に作成し、更新管理を徹底する。
  • 故障診断用のLEDやディスプレイを配置し、トラブル発生時に原因を特定しやすくする。

鉄則⑤ 最新の技術を活用し、制御の最適化を図る

近年、IoT・AI・クラウド技術を活用した制御盤が増えています。これらの技術を導入することで、効率的な運用やトラブル予測が可能になります。

🔹 最新技術の活用ポイント

  • IoT対応のPLCやリモート監視システムを導入し、遠隔管理を可能にする。
  • AIを活用した予知保全システムを取り入れ、故障リスクを低減。
  • クラウド連携により、リアルタイムでデータ収集・分析を行う

まとめ

制御盤設計における鉄則を守ることで、安全で効率的なシステムを構築することができます。

✅ 制御盤設計の鉄則まとめ

  1. 機器の配置は熱・配線・メンテナンスを考慮する。
  2. 適切な電源設計を行い、過電流・短絡対策を徹底する。
  3. ノイズ対策を施し、誤作動を防ぐ
  4. 保守・点検のしやすい設計を心がける
  5. IoT・AI技術を活用し、制御の最適化を図る

最新技術を活用しながらも、基本的な設計ルールを守ることが、信頼性の高い制御盤を作る鍵となります。

 

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第7回制御盤設計雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社ツバサオートメーション、更新担当の中西です。

 

本日は第7回制御盤設計雑学講座!

さて今回は

~歴史~

ということで、制御盤設計の歴史と背景について深く掘り下げ、その進化が産業技術にどのような影響を与えてきたのかを解説します♪

 

制御盤は、電気設備や機械の動作を管理・制御するための装置であり、産業界において不可欠な存在です。歴史的には、手動スイッチから始まり、リレー制御、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、そしてIoT・AI技術を活用したスマート制御へと進化してきました。


1. 制御盤の起源:手動操作からリレー制御へ(19世紀後半~20世紀前半)

産業革命と電気制御の誕生(19世紀後半)

制御盤の歴史は、19世紀後半の電気技術の発展とともに始まりました。それまでの工場の機械制御は、蒸気エンジンや水力を利用したベルト駆動システムが主流でしたが、電気が導入されることで、より精密な制御が可能になりました。

  • 1879年:トーマス・エジソンが白熱電球を発明し、電気の利用が一般化。
  • 1880年代:電動モーターが産業機械に導入され、電気制御の必要性が高まる。
  • 1890年代:電磁接触器(コンタクタ)が開発され、遠隔制御が可能に。

リレー制御の登場(20世紀初頭)

20世紀初頭には、電磁リレーを利用した制御システムが登場しました。リレーは、電気信号のON/OFFを制御するスイッチとして機能し、産業機械の自動化を促進しました。

  • 1910年代:電磁リレーを用いた制御盤が製造され、大型機械の遠隔操作が可能に。
  • 1930年代:リレー回路による自動シーケンス制御が開発され、生産ラインの自動化が進む。

この時期の制御盤は、大量のリレーを用いて機械の動作を順番に制御するものであり、回路設計が複雑になると配線ミスやトラブルが増えるという課題もありました。


2. PLC(プログラマブルロジックコントローラ)の誕生と普及(1960年代~1980年代)

PLCの誕生とその背景

1960年代になると、リレー制御の複雑化によるメンテナンスの手間や誤作動のリスクが問題視されるようになりました。この課題を解決するために、電子回路を活用した制御装置が開発されました。

  • 1968年:アメリカのゼネラルモーターズ(GM)が、リレー回路を電子的に置き換える「PLC」の開発を提案。
  • 1969年:アレン・ブラッドリー(Allen-Bradley)社が世界初のPLC「Modicon 084」を発表。
  • 1970年代:PLCが工場の制御盤に導入され、配線の簡素化・制御の柔軟性が向上。

PLCの特徴は、プログラムによる制御の変更が可能なことです。リレー制御では回路を変更するたびに配線を組み替える必要がありましたが、PLCならソフトウェアを書き換えるだけで制御内容を変更できるため、製造業の生産ラインの柔軟性が飛躍的に向上しました。

PLCの進化と制御盤設計への影響(1980年代)

1980年代になると、PLCの処理能力が向上し、アナログ信号の処理やセンサーとの連携が可能になりました。これにより、温度・圧力・流量などの制御もPLCで行えるようになり、火力発電所・石油化学プラント・自動車工場などの大規模システムにも導入されるようになりました。


3. コンピュータ制御とネットワーク化(1990年代~2000年代)

制御盤のデジタル化とSCADAの導入(1990年代)

1990年代には、制御システムがさらに進化し、PLCとコンピュータを連携させたSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)が登場しました。

  • SCADAシステムの役割
    • 遠隔監視・制御が可能。
    • 工場全体のデータをリアルタイムで収集・分析。
    • 異常検知やトラブル時の自動対応が可能。

Ethernet通信の導入と分散制御(2000年代)

2000年代に入ると、PLC同士や上位システムとの通信にEthernet(イーサネット)が導入され、制御盤のネットワーク化が加速しました。

  • 従来の制御盤:各機器が独立しており、配線が複雑。
  • ネットワーク制御:LANや無線通信を活用し、データを一元管理。
  • 分散制御システム(DCS):中央制御から各機器が独立して動作し、システムの柔軟性が向上。

これにより、大規模な発電所や化学プラントでは、遠隔地からのモニタリングや自動調整が可能になりました。


4. IoT・AIによるスマート制御盤の時代(2010年代~現在)

IoTによる制御盤の進化(2010年代)

2010年代以降、IoT(モノのインターネット)技術が制御盤にも導入されるようになり、リアルタイムデータの活用が進んでいます。

  • センサー技術の進化:温度・湿度・振動・電流・電圧を詳細にモニタリング。
  • クラウド連携:制御データをクラウドに送信し、遠隔管理が可能。
  • AIによる異常検知:機械学習を活用し、故障の予測や最適な運転制御を実施。

スマート制御盤の登場(2020年代~)

現在では、AIとIoTを組み合わせたスマート制御盤が開発され、以下のような機能が実現されています。

  • 予知保全(Predictive Maintenance):異常が発生する前にメンテナンスを実施。
  • エネルギー最適化:電力消費をリアルタイムで分析し、最適な運用を実施。
  • 5G対応:低遅延・大容量通信により、より高度な遠隔制御が可能に。

まとめ

制御盤設計は、手動操作→リレー制御→PLC→ネットワーク化→スマート制御という形で進化してきました。

  • 1960年代:リレー制御からPLC制御へ移行
  • 1990年代:コンピュータ連携とSCADAシステムの発展
  • 2000年代:Ethernet通信による分散制御の普及
  • 2010年代~現在:IoT・AI技術を活用したスマート制御盤へ

今後も、AI・5G・クラウド技術と融合しながら、より高度な自動化と効率化を実現する制御盤の進化が期待されます。

 

株式会社ツバサオートメーションでは、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!

私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。

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